相模多摩線


路線概要

路線名:相模多摩線(さがみたません)

ナンバリング:ST

区間:内藤新宿〜津久井中野、渋谷〜駒場東大前

起点:東京都新宿区内藤町

終点:神奈川県相模原市緑区中野
 
経由地:東京都渋谷区、同目黒区、同世田谷区、神奈川県川崎市高津区、同宮前区、同麻生区、横浜市青葉区、東京都町田市、神奈川県相模原市中央区

営業キロ:合計50.8キロ

駅数:40

駅一覧

[ST01]内藤新宿(ないとうしんじゅく)
[ST02]国立競技場(こくりつきょうぎじょう)
[ST03]原宿(はらじゅく)
[ST04]神南(じんなん)

     渋谷(しぶや)
[ST05]駒場東大前(こまばとうだいまえ)
[ST06]淡島(あわしま)
[ST07]太子堂(たいしどう)
[ST08]世田谷(せたがや)
[ST09]弦巻(つるまき)
[ST10]上用賀(かみようが)
[ST11]砧公園(きぬたこうえん)
[ST12]砧本村(きぬたほんむら)
[ST13]宇奈根(うなね)
[ST14]津田山(つだやま)
[ST15]上作延(かみさくのべ)
[ST16]宮前神木(みやまえしぼく)
[ST17]土橋(つちはし)
[ST18]犬蔵(いぬくら)
[ST19]菅生水沢(すがおみずさわ)
[ST20]西水沢(にしみずさわ)
[ST21]王禅寺(おうぜんじ)
[ST22]麻生不動(あさおふどう)
[ST23]三輪(みわ)
[ST24]鶴川(つるかわ)
[ST25]西鶴川(にしつるかわ)
[ST26]薬師池公園(やくしいけこうえん)
[ST27]山崎町(やまざきまち)
[ST28]図師忠生(ずしただお)
[ST29]淵野辺本町(ふちのべほんちょう)
[ST30]矢部(やべ)
[ST31]相模原(さがみはら)
[ST32]南橋本(みなみはしもと)
[ST33]橋本台(はしもとだい)
[ST34]内出(うちで)
[ST35]久保沢(くぼさわ)
[ST36]城山(しろやま)
[ST37]津久井湖城山公園(つくいこしろやまこうえん)
[ST38]はじめヶ丘(はじめがおか)
[ST39]津久井中野(つくいなかの)


沿線概況

相模多摩線は、東京都新宿区の内藤新宿駅から神奈川県相模原市緑区の津久井中野駅を結ぶ路線です。相模原・町田・川崎市北部方面と東京都心を直結し、沿線には多数の学校があるため、多くの通勤・通学客に利用されています。また、東梨特急といった特急列車も運行されており、休日になると富士山・津久井方面への観光客も多く利用します。

路線の原型は、昭和初期に計画され、昭和恐慌など様々な悪条件に影響され実現しなかった未成線「相武電気鉄道」です。相武電気鉄道については他のページで詳しく触れる予定ですので、ここでの説明は割愛させていただきます。

1.地下線を駆け抜けて(内藤新宿〜津田山)

国道20号線四谷四丁目交差点付近にある「四ツ谷内藤新宿」の碑
国道20号線四谷四丁目交差点付近にある「四ツ谷内藤新宿」の碑

東京・内藤新宿。江戸時代に甲州街道最初の宿場町として栄えたこの街には、現在、緑豊かな新宿御苑があります。
そんな歴史と緑の街から、多富急相模多摩線が発車しています。内藤新宿駅は頭端式ホーム4面4線で、地下2階にホームがありますが地上まで吹き抜けになっています。これは、新宿御苑の緑をそのまま駅に取り入れるために作られ、始発駅にふさわしい姿を形作っています。

 

ここでは、快速急行に乗車したものとして解説します。

「お待たせしました。1番線から、快速急行、相模湖行きが発車いたします。」という放送に続き発車メロディーが鳴ると、ドアが閉まり、発車。発車してまもなくすると、次の国立競技場駅に到着します。文字通り、国立競技場への最寄駅で、JR中央線各駅停車・都営大江戸線との乗換駅です。電車はさらに地下線を進み、原宿駅へ。利用客が多い2面3線の地下駅で、1番線では相模多摩線と愛川線それぞれで整列乗車が実施され、朝ラッシュ時には2番線と3番線で交互発着が行われます。また、日中〜夜間の2番線は下り東梨特急・あいかわライナー専用乗り場として使われます。

原宿駅で大勢の乗車があり、NHK放送センターのある神南を通過すると、列車は右にカーブし駒場東大前に到着。ここで、渋谷・六本木方面からの線路が合流し、菅生水沢まで複々線となります。渋谷方面からの電車の接続を受け、車内はさらに混雑します。

駒場東大前駅を発車すると、これまで通り地下トンネルではありますが緩行線が上、急行線が下で2層構造の複々線となります。地下2層構造の複々線は小田急線の下北沢が有名ですが、相模多摩線の場合はこれが長区間続きます。

時速90キロという高速で地下トンネルを進みます。トンネル内の途中通過駅のうち、淡島・太子堂・弦巻・上用賀は急行線にホームがなく、快速急行からその姿を確認することはできません。また、世田谷は東急世田谷線との乗り換え駅で急行停車駅。そのため急行線にもホームがありますが、ホームの外側に通過線があり、一部の急行電車が特急列車の通過を待つことがあります。

上用賀を過ぎてしばらくすると、ようやく急行線と緩行線が同じレベルに戻り、程なくして砧公園駅を通過します。文字通り砧公園の直下に駅があります。また、この駅では各駅停車と急行・準急が同じホームで乗り換えられるようになっています。

砧公園を通過するとすぐに国分寺崖線に差し掛かり、電車はここで初めて地上に出ます。相模多摩線の複々線地上区間は、外側が緩行線、内側が急行線です。かつて玉電の砧線が発着していた砧本村駅を通過すると多摩川を渡りここで神奈川県川崎市に入ります。それからすぐに宇奈根駅を通過し、電車は、南武線との乗り換え駅である津田山駅に到着します。

 

2.美しき住宅地を眺めて(津田山〜鶴川)

津田山〜王禅寺は、東急と合同で開発した「多摩田園都市」を通り、沿線には美しい街並みが広がります。また、多摩丘陵に突入するためカーブや勾配が多くなりますが、緩いカーブなど線形が比較的良いため、電車はさらにスピードを上げ、時速100キロ前後で走ります。
津田山を発車すると、電車は右にカーブし上作延を通過。次に左カーブして丘陵地のトンネルに入り、半地下駅の宮前神木を通過します。宮前神木駅は車庫が併設されており、朝夕を中心に宮前神木始発・終着の電車が設定されています。電車は複々線を快走。東名高速道路をオーバークロスして土橋、そして犬蔵の順に通過します。
菅生緑地の脇を通って横浜市に入り、分岐器の通過で電車が左右に揺れると菅生水沢に到着。2面6線の駅で外側4線にホームがあり、内側2線は通過線です。特急列車の通過待ちなども行われています。また、この駅で複々線が終わると同時に愛川線が分岐します。
愛川線の準急と接続を取り、菅生水沢を発車。次の西水沢を通過してしばらくすると再び川崎市に入り、次の停車駅、王禅寺に到着。駅名の通り王禅寺の最寄駅ですが、団地群が建ち並ぶすすき野へもほど近く利用客は多いです。王禅寺周辺は横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸が決定したため、大きな変化が訪れようとしています。
王禅寺で多摩田園都市を後にし、右カーブとともに勾配を下ると、麻生不動駅を通過します。2面4線の駅で、文字通り麻生不動尊への最寄駅です。通過待ちが頻繁に行われており、この快速急行も先行の各駅停車を追い抜きました。
さらに鶴見川沿いを走行し、三輪緑山への玄関口である三輪駅を通過。そして左にカーブすると、電車は小田急線との乗り換え駅である鶴川駅に到着します。

3.未成線に想いを馳せ(鶴川〜相模原)

沿線の「薬師池公園」
沿線の「薬師池公園」

鶴川から先は、多富急で最初に開通した区間。昭和初期に計画されたものの、昭和恐慌など様々な悪条件が重なり未成線となってしまった「相武電気鉄道」とほぼ同じルートを辿ります。
かつての多富急鶴川駅は、現在の小田急線3番ホームであり、小田急線との直通運転も行われていました。しかし、1960年代に入ると相模多摩線の都心方面延伸に伴い、小田急線の南側に2面4線のホームを新たに建設し移転。鶴川駅南口は長らく未開発の状態でしたが、まもなく再開発が始まります。

鶴川を発車すると、小田急線をオーバークロスしてまもなく小田急線との連絡線が合流。電車はスピードをぐんぐん上げ、線内最高となる時速110キロで高架線を走行します。しばらくすると、野津田陸上競技場へのアクセス路線である野津田線が分岐する西鶴川駅を通過。続けて、薬師池公園四季彩の杜の最寄駅である薬師池公園駅、山崎団地の最寄駅である山崎町駅を通過します。
 鶴見川沿いの谷を抜け、切り通し区間に入るとまもなく図師忠生駅に到着。この駅は桜美林学園の最寄駅で、横浜と八王子をダイレクトに結び、町田・南大沢などの街を通る便利で快適な八王子線との乗り換えができます。2面4線の構造で、各駅停車との乗り換えができます。

図師忠生を発車してしばらくすると、八王子線の線路につながる連絡線が合流します。この連絡線は主に横浜方面と道志村・富士山方面を結ぶ臨時列車が経由します。そして、境川を鉄橋で渡り神奈川県相模原市に入ります。まもなくすると淵野辺本町駅を通過。さらに右にカーブすると左下に横浜線の線路が見え、これをオーバークロスすると矢部駅を通過します。矢部駅は急曲線上にホームがあるため、通過電車も時速75キロ程度にまで減速します。また、矢部駅の前後は盛り土区間になっていますが、これはこの区間の開通当初からあるもの。しかし、ここより相模原方の高架は後から高架化されたものになっています。

その後、再び速度を上げしばらくすると、速度が落ち始め、相模原駅に到着します。

4.湖畔のニュータウンへ(相模原〜津久井中野)

相模原駅は相模原市の中心駅で、特急列車を含むすべての列車が停車します。非常に多くの乗り降りがあり、横浜線との乗り換えも当駅で行われることが多いです。

相模原を発車すると、電車は左にカーブし、まもなくするとJR相模線との乗換駅である南橋本駅に到着します。南橋本駅の城山方に引込線が1本あり、南橋本発着の電車が使用します。南橋本を発車すると、高架線を時速110キロで快走。相模原北公園の最寄駅である橋本台駅と、相模川沿いの景勝地大島への最寄駅である内出駅を通過し、やがて相模川の河岸段丘を降りていきます。進行方向右手から山が近づくとまもなく久保沢駅に到着。旧川尻村の中心地で、快速急行も止まります。また、快速急行は久保沢を出ると終点まで各駅に停車します。

久保沢を発車すると、右側は山、左側は相模川に挟まれたところを通り、城山駅に到着。城山車両基地の最寄駅で、城山発着の電車が数多くあります。また、多くの各駅停車は当駅で乗り換えが必要となります。そのため、東梨線の青根・道志渓谷・富士山方面へは城山での乗り換えが便利です。

城山を発車すると、すぐに津久井湖を鉄橋で渡り、津久井湖城山公園駅に到着。この駅からは、津久井城跡がある城山山頂へ向かうロープウェイが発着しており、週末になると多くの観光客で賑わいます。

津久井湖城山公園駅を発車すると、多富急が1980年代より開発した津久井ニュータウンに入ります。電車は右にカーブし、しばらくすると津久井ニュータウン最初の駅、はじめヶ丘駅に到着します。そして、右手に津久井湖を眺め高架線を進むと、相模多摩線の終点、津久井中野駅に到着。駅周辺は旧津久井町の中心地で、当駅から津久井線と東梨線が分岐しています。


津久井線


路線概要

路線名:津久井線(つくいせん)

ナンバリング:TU

区間:津久井中野~相模湖

起点:神奈川県相模原市緑区中野

終点:神奈川県相模原市緑区与瀬
 
経由地:神奈川県相模原市緑区

営業キロ:7.4キロ


駅数:4

駅一覧

[TU40]みかげ平
[TU41]内郷あおい台
[TU42]さがみ湖プレジャーフォレスト
[TU43]相模湖


沿線概況

津久井線は、津久井湖から相模湖に至る相模川沿いの地域で宅地造成などの沿線開発を行う目的で建設されました。ほぼ全線が「津久井ニュータウン」の開発区域を走ります。
また、沿線には相模湖といった観光地もあり、休日ともなると観光客も多く利用します。
かつては終点の相模湖から秋山渓谷・都留市・御坂峠を経由して甲府に延伸する計画もありましたが、実現することなく今に至ります。

1.ニュータウンを西へ(津久井中野〜相模湖)

さがみ湖リゾートプレジャーフォレストで毎年行われる、イルミネーションの様子
さがみ湖リゾートプレジャーフォレストで毎年行われる、イルミネーションの様子

津久井中野駅を発車すると、すぐに東梨線上りの線路と平面交差し、右に進み、東梨線と別れます。車窓右下には津久井湖の湖面が綺麗に輝いています。左にカーブするとみかげ平駅に到着。すぐ近くに東梨線「三ケ木駅」があることと、駅周辺が旧津久井町では珍しい平らな土地であったことから“平”を付け、この駅名になりました。
みかげ平駅を発車すると、すぐに道志川にかかる道志橋梁を渡り、そのまま長いトンネルに入ります。トンネルを抜けるとまもなく内郷あおい台駅。駅周辺の元々の地名は「寸沢嵐(すわらし)」ですが、この辺りが旧内郷村であったことからこの駅名となりました。
内郷あおい台駅を発車すると川沿いの低地帯を進みます。右カーブに差し掛かると右側に線路が分岐し、ここからしばらく三線区間となります。この三線区間の中線は留置線として使用され、シーズンになるとさがみ湖プレジャーフォレスト発着の臨時電車が折り返しに使用します。なお、この三線区間が始まるところからさがみ湖プレジャーフォレスト駅の構内になっています。三線区間が終わり右側から線路が合流すると、まもなくさがみ湖プレジャーフォレスト駅。文字通りさがみ湖リゾートプレジャーフォレストの最寄駅で、週末や夏休みになると多くの乗り降りがあります。
さがみ湖プレジャーフォレスト駅を発車すると、車窓左手には相模湖の湖面が見えてきます。程なくして相模湖を鉄橋で渡り、県立相模湖公園の直上を高架で通過するとトンネルに入ります。そして、左にカーブすると終点の相模湖駅に到着します。
相模湖駅は1面2線で島式ホームの地下駅です。かつてこの路線を甲府に延伸する計画があったため、延伸準備施設として2面3線分の空間があります。そのため、ホーム南側に大きなスペースがありますが、使用されることなく今に至ります。相模湖駅に到着した電車は、ホームの位置から更に300メートルほど伸ばされた留置線に引き上げ、そこで折り返します。この留置線も、将来の甲府延伸を見越して作られたものです。
バブル崩壊で廃れてしまった相模湖畔も、津久井線が開業した今は関東有数の観光地に返り咲き、週末になると多くの観光客で賑わいます。